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イノセントガーデン [映画]

 このところの湿気と暑さにすっかりやられて、またしても間が開いてしまいました><

 そんなわけで、『イノセントガーデン』、実は既に2週間以上前、監督(パク・チャヌク)、主演女優(ミア・ワシコウスカ)と、どちらもかなりお気に入りで、公開されてすぐ見てきたのですが、ことのほか絵を描くのが手間取ってしまったため、ちょっと遅れての感想です。

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 とあるアメリカの田舎町、丘の上に立つ深い森のような広大な邸宅が舞台のミステリー。 18歳の誕生日を迎えたインディアは、最愛の父を不慮の事故で失うが、 葬儀の日、父の面影を宿す叔父のチャールズの出現によって、彼女の内側に今までにない変化の兆しがあらわれる。 折りしも彼女の周囲の人々が次々と行方不明になる不可思議な事件が起きていた・・・

 恐ろしいのだけどエレガント、残酷だけど官能的で美しい映画でした! 

 靴、鍵、蜘蛛、卵、鳥の剥製、グランドピアノ・・・さまざまな隠喩的小物がちりばめられているところがまた不思議な寓話のようで、ちょうど『アリス・イン・ワンダーランド』ミア・ワシコウスカが主役というのもあって、閉じられた世界の中の彼女が「黒いアリス」のように見えました。 今まで明るい髪色しか見たことのなかった彼女の黒髪はそれだけですごく新鮮で美しかったです! 
 
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 母親役には二コール・キッドマンというゴージャスさ☆ この冒頭の『ある貴婦人の肖像』を思わせる喪服姿の美しかったこと!

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 そして何より、怪しげで妖しげな叔父チャールズを演じたマシュー・グードが一番の掘り出し物でした! ほとんど人間とは思えない異様な存在感が凄くて、一瞬たりとも目が離せない。 エレガントで獰猛で美しい野獣のような危険な男・・・これは、インディアならずとも惹かれてしまいますよね~

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 パク・チャヌク監督の映画ですから、当然いろいろなエロポイントがあって、あのシャワーシーンとか首絞めシーンとか・・・小さな蜘蛛がインディアの体を這い回るシーンまでも、おお!と興奮(笑)  しかし、やはりこの叔父姪の連弾シーンが一番の萌えましたね~! 叔父と姪の関係でこれは・・・禁断過ぎるでしょう~><

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 また、あまり仲がよろしくない母娘(おやこ)と言っても、インディアが母親の髪を梳かすシーンは美しく、なかなか目の保養でした♪  

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 しかし、やっぱり自分の理解を超えた存在である娘に、普通に愛情をもつのは難しいようで、「あの子がたうち苦しむ姿をみてみたい」とまで言わせてしまう哀しさ。 「母」であるより「女」である彼女は、ちょっと残酷童話の継母のようでした。 

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 とにかく、繊細で鋭敏な感覚をもてあまして、いつも眉間にシワを寄せて内にこもりがちなインディアでしたが、それが巣立つ前の少女たるゆえんだったのかと思います。 その彼女が最後には悠然と翼を広げて大空を羽ばたくように見事に大人となった姿には、しびれるような官能と感動を同時に味わいました。 

 ファーストシーン、そしてラストシーンの草原にたたずみスカートの裾をなびかせて微笑む少女の、何て美しくカッコよかったこと>< (ココのアングルも最高です!)


 この映画、仲のいい叔父が殺人犯?というところが、ヒッチコックの『疑惑の影』がベースになっているそうです。 残念ながら私は見たことがなくて、代わりに原題の『STOKER(ストーカー)』と言うところからも、この映画は一種の吸血鬼譚、もしくは人狼伝説のように見えました。 そんなゴシックの香りがするところも、ツボにハマった素敵な映画だったと思います。

 他にも、『羊たちの沈黙』のレクター教授とクラリス(彼女も黒髪でしたね)の関係を思い出したり、幼い頃から姪っ子に目をつけて自分のパートナーにというところが『源氏物語』を思い出したり・・・いや~本当いろいろと連想できて楽しかったです♪

 そう、ヒッチコックと言えば、パク・チャヌク監督は『めまい』がきっかけで映画監督になる決心をしたとのこと。 うわ~私もヒッチコックでは『めまい』が一番という人だったので、いっそう親近感が沸いてきました。 元々大好きだった『オールドボーイ』を始めとする復讐三部作だけでなく、他にも色々見てみたくなりました☆


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 というわけで、早速見たパク監督の吸血鬼もの~♪

 エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』に触発されて作ったそうです。 敬虔な青年神父が人体実験の結果吸血鬼になってしまい、美しい人妻と不倫の恋をするというお話。 シリアスな恋愛物ですが、スプラッタでグロテスクでコミカルな部分もあり、とても監督らしい刺激的な吸血鬼ものに仕上がっています。 ちなみに、この映画でも小物の靴が効いていて、哀しいラストを素敵に盛り上げていました。 監督のそんなロマンティックかつフェチぽいところ、大好きです~笑


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コメント 4

sana

おお~こういう映画だったのですね☆
雰囲気のあるイラストが素敵~~!
説明していただいて、なんとも面白そう‥興味をそそられます。
ミア・ワシコウスカは「アリス・イン・ワンダーランド」以来、注目の女優さん。この役はこんな感じなのですね。黒髪でイメチェン♪

しかし、ジョン・グードはほとんど人間とは思えない異様な存在感て?!
すごい役者さんなのかしら。
かなり変わった映画? ちょっとドキドキです~。

ヒッチコック映画ねえ‥ なるほど☆
以前に何本かテレビでは見ているのですが、あまり具体的には覚えていません~。
キッドマンはそういう映画に合いそうですね。
実はあまり好きじゃない女優さんなんですが、これが見たい映画によく出るのです~それでよけい複雑な葛藤が^^;
歴史ものや耽美的な画面に合うってことかしらね。役に合っていればそれはいいんですけど。

監督さんは知りませんでしたが、なかなか印象的ですね。
そのうち見る機会があるといいな~。
by sana (2013-06-22 00:14) 

tatchan

*sanaさん*
こんにちは♪
今回もナイス、そしてコメントもありがとうございます^^

わ~sanaさんもミア・ワシコウスカは注目の女優さんでしたか☆
やっぱり『アリス・・・』は可愛くて凛々しくてよかったですよね!

私も去年の暮れ『ジェーン・エア』で初めて彼女を知って以来
すごく気になる女優さんの一人なんですよ。それから色々見てみて
『アリス・・・』のほかにも『アルバート氏の人生』『永遠の僕たち』など
それぞれが印象的な役柄ですっかりほれ込んでしまいました。
透明感があって凛として、それから顔立ちも古典的なところがあって
ビクトリア朝絵画に出てきそうな感じ、凄く気に入っています☆

マシュー・グードはコリン・ファース主演の『シングルマン』で
彼の同性愛の恋人役演じていて、短い出演ながら
強烈な印象だったそうですよ~
顔は意外と普通と言う感じなのですが、とにかく雰囲気が凄くて!
やっぱり演技力のある人なんでしょうね~巻き込まれていく感じで
見入ってしまいました。
ミア・ワシコウスカも演技が達者なので緊迫した間柄で
相乗効果で見ごたえありましたよ~

ニコール・キッドマンは、苦手でいらっしゃるとか
ちょっと顔など癖がある女優さんなので、何となくわかります~
私も、彼女については若い頃結構気に入っていたので
『ある貴婦人の肖像』や『アザース』『ステップフォーワードワイフ』など
色々見ていたのですが、最近はあまり熱心ではなくて
確か、『ムーランルージュ』のあたりからでしょうか、肉食系がきつすぎて
ちょっと遠ざかっていました。
そう、『めぐり合う時間たち』もまだ見ていないんですよ~評判だったのに。
ウルフの話だから興味はあるんですけどね。

確かに彼女、選んで(選ばれて?)いい映画に出ていると思います。
文芸物とか見ごたえのある映画とか・・・
だから、私もよく彼女を見ていたというのもありますね。
実際、『アザース』など大好きな映画ですし・・・
ミア・ワシコウスカもいい役柄というよりいい映画に出ていて
そんなところがキッドマンに少し似ています。顔のタイプは違いますが
同じオーストラリア出身だそうで、この映画のパンフレットにも
キッドマンが彼女のことを「若い頃の自分を思い出す」と言っていました。

パク監督は、それこそクセがすごくあるのでどうかな~と思いますが
もし見られるのなら、断然『オールドボーイ』などお勧めかな~
復讐の物語で痛くて凄惨でドロドロしているけれど
同時に純粋で哀しくて、美しい映像も魅力的です。

とは言ってみたけど、この映画が一番毒が少なくて入りやすいかも。
来日した監督が女性限定の試写会で
「女の子向けに作りました」と言っていたそうです(笑)
DVDにでもなったら、是非とも見てください~☆
by tatchan (2013-06-25 17:25) 

aya_rui

熱~い季節に背筋がひんやり~クールダウンするには十分過ぎそうな
スプラッタ物は、今の季節ならではでもあるかもですが
私は苦手なのです~<(@д@)>
ホラー物とは違うかもですが、怖い話とか全然ダメで(XoX;)
でも、入り込みやすいというか、一旦触れてしまうとドンドンその世界観に
とりこまれて一気に見れてしまうのは、いいんですけどねぇ~
しかも、いろんな作品を思い起こさせるという部分でも
自分なりの解釈を付け加えたりして、さらに楽しめそうですね。
by aya_rui (2013-07-12 17:46) 

tatchan

*aya_ruiさん*
こちらにもナイスとコメントもありがとうございます^^

え~っ、怖い話は全然駄目ですか~☆ちょっと意外です~
ゴスファッションが好きとお見受けしましたので
吸血鬼ものとか大丈夫かと思っていました^^;
この映画は、そんなスプラッタというほど血しぶきは出てきませんよ。
それこそ上品な出方でちょっとヒヤッとするくらいですね。
どちらかというと世界観で見せる感じで
素直に見ると、サスペンスの部類に入ると思います。
それを私がホラー風味を強調しすぎましたね。

私もホラーは興味があると言えば結構ありますが
吸血鬼はとくに大好物ですし・・・
でも、13日の金曜日とかゾンビ物とかグロい系やスプラッタ物は
むしろ全然駄目なんですよ。
それから日本の心霊物も全然駄目。
となると限られてきますが、サイコホラーや静かなゴシックホラーなら
ツボのハマっていて結構見ています。

>でも、入り込みやすいというか、一旦触れてしまうとドンドンその世界観に
とりこまれて一気に見れてしまうのは、いいんですけどねぇ~

そうそう、それです☆
怖いけど目が離せないというか・・・
結構怖いけど人情や愛情に訴えかける話とか好きですね~
どうなってしまうんだろうって気になって
結局最後まで見てしまうんです(笑)
by tatchan (2013-07-23 11:32) 

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