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外事警察 [映画]

 最近、ドラマ『外事警察』の再放送にすっかりハマってしまい、最終話を見終える前に「ドラマ未見でも楽しめる」と言う噂を小耳に挟んで、ついには映画まで見に行ってしまいました。

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 元々このドラマ、尾野真千子さん目当てで見始めたんですよ。 予想通り、彼女の演技はこの時点(2009年)で素晴らしく『カーネーション』で見られた芯の強さとこまやかな表情、独特の低音ボイスも味わえて大満足。 で、予想外だったのは、対外テロに暗躍する「外事警察」の和製ノワールとでもいうべき闇の世界にも魅了されてしまったことでした。

 そう、プログレッシブカメラで撮ったとおぼしき、陰影にとんだ奥行きのある画面にテロの脅威にさらされた裏の世界が見事に映し出されていて・・・ なんだか『ブレードランナー』とか『ブラックレイン』とか似ているー!って思ってイチコロでした(笑) 自分の好きな世界がリンクされた嬉しい瞬間でしたね~

 監督は、『ハゲタカ』『篤姫』の演出も手がけられたという堀切園健太郎さん。 恥ずかしながらこの有名なドラマ二本とも未見で、今回初めてお名前を知りました。

 オフィシャルガイドブックのインタビューによると、堀切園さんはアメリカで長回しの手法を学ばれて、この映画もその手法で撮影されたということでした。 長回しは『龍馬伝』でも使われていましたよね~ この方が、大好きで尊敬する大友啓史さんと一緒に撮ったのが『ハゲタカ』かと思うと・・・いや~社会派ドラマと敬遠し続けてきたドラマですが、ファンも多くいらっしゃることですし、いずれ近いうちに『ハゲタカ』と対峙しなければと思いました(笑)

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 ドラマを見るきっかけは尾野真千子さんでしたが、映画を見る決め手は田中泯さんでした。 

 その才能と生真面目さゆえに過酷な運命のもと幽鬼のような存在と化した哀しきマッドサイエンティスト、徐博士。彼を見るだけで、この映画を見た甲斐があったと思いましたよ。 目の鋭い輝きはもちろん、足の爪の先、一本一本の髪までぴりぴりとした神経が通っているかのような神業的な演技、さすが、生粋のダンサーと思いました。 本当凄まじい存在感でしたよ。

 それにしても、泯さんはこういう半分あちらの世界に行ってしまった役が似合いますよね。 『たそがれ清兵衛』 や、ドラマ『続・遠野物語』でも幽霊となって妻のもとに帰ってくる老人役でした。 もちろん、東洋様もほとんど妖怪のようなド迫力でしたっけ(笑)

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 それから、真木よう子さん。 尾野真千子さんと並んでもう一人のヒロインと言うべき「協力者」果織役でした。 大きな目、ハスキーな声、を存分に生かした運命に翻弄される女性を体当たりで熱演していました。 ↑このイラストも予告編を見て描いたのですが、本当目力がハンパじゃなくて・・・そう言えばお龍さんのときも最初のあたりは龍馬をすごい目でにらみつけていたな~と懐かしく思い出したりしました(笑) 真木さんは気が強い美人さん役がホントにハマリます。

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 気が付くと、主役の住本渡部篤郎さん)が最後になってしまいましたが、容赦なく人の心をえぐりとりその奥の闇をさらす非情っぷりが「公安の魔物」健在と言う感じで背筋がぞっとするほど恐ろしかったです(笑) 恐ろしいのだけれど、でも人一倍深い人間的な情も内に秘めているというのがわかると言うか、本当に並の演技力では出せない複雑な表情で魅せてくれました。

 もう、とにかく本当始めから終わりまで敵も味方もだましだまされの連続で緊張しっぱなしなのですが、それが快感なんですよ~ それも、完成度の高い画面作りと実力派俳優さんたちの演技がぐいぐい引っ張って行ってくれていたからなんだと思えました。 音楽もまた迫力満点で素晴らしかったです。 とくに、あのドラマでもメインテーマかというほどよく出てくる不協和音がクセになります~笑


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幕末太陽傳・・・と言ってもほぼ高杉ですけど(笑) [映画]

 近頃絵を描くのに行き詰まりを感じていたので、練習がてら少し前に見た『幕末太陽傳』をスケッチしてご紹介することにしました。

 この映画、最近NHK-BSデジタルリマスター版が放映されて、画面がくっきり着物の感じなど本当によくわかるようになりました。 遊女屋の内部や調度品や小物もなかなか凝っていて江戸文化、風俗を観察するには本当もってこいの上質の映像でした。

 有名な上方落語を下敷きにした傑作喜劇の本作。 幕末の頃品川宿の遊女屋を訪れた佐平次(フランキー堺)が無一文ゆえにそのまま居残り遊女屋のさまざまな騒動に巻き込まれるというお話です。

 でも、まあ私の目当てはなんたって脇に登場する高杉でした(笑) 高杉は攘夷志士として登場して御殿場の英国公使館焼き討ちを企てようとしています。 

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 高杉はなんと若き日の石原裕次郎なんですよね☆(今回は敬称略でいきます)

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 とにかく若い! と思って調べてみたらなんとまだ彼が23歳のときでした。

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 このポーズは大島攻めの作戦を考えたときの逆立ちを彷彿とさせますね~何だかサービス満点☆ その他にも描きませんでしたがお風呂シーンなどもありました。 奥の3人組の中央は志道(井上)聞多、右は伊藤俊輔でしたか。

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 散切り頭かと思ったら、散切り+ポニーテールというこの髪型には???でした(笑) このぽっちゃり顔なところは『花神』中村雅俊の高杉に感じが似ていましたね。

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 ちょっと濃ゆい感じではありますが、あの頃人気アイドルだったという裕次郎が高杉というところがちょっと嬉しくもありました(笑) 実はファンの方には申し訳ないのですが、石原裕次郎はあまり好きな俳優さんではなかったのですが、今回ばかりはなかなか男前で素敵と思いました☆

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 「三千世界の烏を殺し ぬしと朝寝がしてみたい~」の都々逸もちゃんとうたいます。 やっぱり高杉はいつでもどこでも歌って踊れるアイドルなんですね~笑

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 ちょっと過激で切れやすいので、何度か刀を抜くシーンが出てきます。 でも、実際に人を斬ったりなんてことはしません。 やんちゃではあるけど短慮ではない話のわかる懐の深い高杉でした。

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 ・・・何て、気がつくと高杉ばかり描いてしまった私。 本当のメインのお話は主人公の佐平次のコミカルな受け答えやアクションなんですけどね。 実は結核におかされて余命いくばくもないという佐平次のペーソスあふれる演技はなかなか味わい深いものがありました。 聞くところによると、監督さんがこの映画を撮った数年後病で亡くなったそうで、そんな感慨をこめてつくられたんでしょうね。

 ホント配役が豪華でしたね~後で調べてみてわかったんですけど、井上は二谷英明、久坂もなかなかイケメンと思ったら小林旭でした。 あとは混血の優男風の丁稚奉公にほとんど面影もないスマートな岡田真澄も出てきます。 なんたって1957年の映画ですから、本当博物館並みに貴重です。

 それにしても、この裕次郎の高杉は結核とは無縁というばかりにほっぺたが福々していて何年かのちに同じ病で死ぬとは到底思えませんでした(笑)

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 ほとんど映画の紹介と言うには余りに偏ったものになってしまってすみません(汗) もしこの映画に興味をもたれた方は、ちゃんとした感想や紹介はどうか他のサイト様を参照なさってくださいませ。 

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『セイジ-陸の魚-』+ティーチイン [映画]

 このところのTVの伊勢谷さんラッシュにすっかりやられてしまい(笑)、ついに先週末、千葉の京成ローザ10で開催された伊勢谷監督&亀石プロデューサーのティーチイン付き『セイジ-陸の魚-』の上映会に参加してきました。

 実は、前日風邪引きかけなのか微熱が出ていた体で、千葉までは約二時間という小旅行並みの長い道のり、雨に降られて道に迷って最後には時間に間に合わない~と映画館にダッシュで駆け込む・・・等々いろいろ大変でしたが、そんな労苦も素晴らしい映画とイベントが吹き飛ばしてくれました☆(笑)

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 まずは『セイジ』の感想から・・・(少しネタバレしていますので、ご注意ください)

 空も 流れる雲も 緑豊かな山も、せせらぎが聞こえる川も そこに生きるものたちすべてがその存在をきわだたせ生命を刻み付けているような、 それぞれの場面が一枚の絵のような美しさにあふれた映画でした。  

 『カクト』でも映像に独特のリズムと輝きが見られましたが、もっとそれが結晶化したような、細やかでいながら揺るぎない力強さが感じられる、そんな画面にぐぐっとひきつけられて映画の世界にすんなり入り込んでいきました。

 音楽もまたよかったですね~力強いリズムを刻むピアノの旋律が、悲しみに満ちた美しい物語をさらに荘厳に彩り深めていました。

 それから、西島秀俊さん演じるところのセイジの存在感のすごさですね。

 インタビューによると西島さんはかなり体を絞ったということでしたが、無駄なところはいっさいそぎ落とした修行僧のような肉体が醸し出す独特の空気感に、ちょっと普通の人間でないにおいを感じてゾクッとしてしまいました。 「僕」の夢の中に出てきた、雨の中セイジが翔子と初めて対面する場面がとくに印象に残っています。 あの自然と一体化して「無」に帰した岩のような姿・・・忘れられません。

 物語の後半、そんな畏怖の念をいだかせるもととなった彼の隠された過去の悲しい体験が次第に明らかになっていくのですが、厳然とした近寄りがたさとすべてのものを包み込む優しさを併せ持つ不思議な魅力をもった彼に、「僕」ともども自分もどんどん惹かれていくのを感じました。

 自らの悲しみだけではなく他人の悲しみもその身に受け止めて生きるセイジ・・・最後、彼が人を救うためにためらいもなくとった究極の行動を目にしたとき、そのまなざしの強さに思わず涙してしまいました。

 救われた少女の健やかに成長した凛とした姿を描いたラストは、白い光に満ちた水面が「生まれ変わった」という喜びで輝き、彼女と世界全体を静かに祝福しているかのようでした。 そして、映画を見る私の心までも再生するかのような予感を感じさせ、穏やかに癒されていくのを感じました。    

 もう一度画面の記憶をたどると、色彩の効果もまた素晴らしかったと思います。 豊穣な木々の緑、寂しげに輝くドライブインネオンサインや揺らめく翔子のドレスの赤、そしてコントラストの強さから生まれる照り返しや光の白・・・ 白はまっさらで無垢で純粋で、でも揺るぎない強さも秘めている。 魂の再生を描いたこの映画にぴったりと思いました。 


 ・・・と言うわけで、次はティーチイン☆ もう映画を見るだけでかなり勢力を使い果たしていたのに、この上、生・伊勢谷さんとは・・・大丈夫か~私?という感じでしたが・・・

 

余りに長いのでここでたたみます。続きを読まれる方はどうぞこちらから・・・


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ブリューゲルの動く絵 [映画]

 師走もいよいよ下旬・・・もうとにかく時が経つのが早すぎます! と言いながら、この忙しない時期に今年最後の映画を見てきました。

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 本当『カイジ2』が今年最後と思っていたので自分でもまさかのまさかです。 しかし、新聞の映画の広告で偶然見つけて主役がルトガー・ハウアーという文字が目に入った次の瞬間、電撃的に行く!と決心していました(笑)  元々80年代の『ブレードランナー』『レディホーク』が世に出た時期からのフリークということもあり、アート映画も好きということもあり、もうワクワク見てまいりましたよ~


 映画は、素晴らしかったですよ! 中世のネーデルランドの風景がそのまま蘇ってきたかのような鮮明な映像、そして風車、家畜、馬のひずめの響きなどの強烈で生き生きとした音☆ その題名どおり、まさに、ブリューゲルの名画『十字架を担うキリスト』がそのまま立体化してリアルに動いているまるで進化した飛び出す絵本のような驚きと楽しさにあふれていました。

 衣装がまた素晴らしくて16世紀のネーデルランドの人々が見事に再現されていました。 そんな人間たちの喧騒にみちたありふれた日常の営みからはたくましい生命力が感じられる一方、当時の宗教改革などの歴史の歯車に巻き込まれてあっけなく命を落とす場面などからは愚かさと命のはかなさも感じられ、思わず何世紀経っても変わらぬ営みを繰り返す人間と言う不思議な存在とは何だろうと深く考えさせられました。

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 ルトガー・ハウアーのブリューゲルはまさにハマリ役☆ 一時期は太って恰幅がよすぎると言われていましたが、中世のコスチュームに身を包んだ姿は堂々とした風格があってまさに当世随一の巨匠画家と言う感じ☆惚れ惚れしました。

 そのガラス球のような透き通る水色の目で人間一人ひとりを丹念に観察して描写して、世界を外側から俯瞰して冷静に眺める姿は、あたかも人間を超越した神のような存在にも思えました。そう、いわゆる尋常でないほど優れた能力者、人間のようじゃないところが、どことなくレプリカントっぽいなぁなどとも思いました(笑) 神のようなとは言いましたが、ブリューゲル自身の妻や子供たちも出てきたということもあり、その人々を見守るまなざしにはどこか愛情深い温かさも感じられて、そんなところもあの民衆画家と呼ばれたブリューゲルの雰囲気がよく出ていたと思います。 

 ルトガー・ハウアーについては、パンフレットを読むと『シンシティ』『バットマンビギンズ』などで「真骨頂としての悪役で存在感を示し続ける」と書かれていて、昔からのファンとしては嬉しいけれどちょっと複雑な気持ちになりました(笑) う~ん、悪役も素晴らしいけど決して彼はそれだけじゃないんだな~と。(『サルートオブザジャガー』とか『聖なる酔っ払いの伝説』とか『ブラインドフューリー』とか・・・)  来年は彼主役の映画がまた来るという情報を得たのですが、故郷のオランダ映画でハイネケンのビールの会社が脅迫される事件の刑事役を演じているそうで、また正義感な役でもど~んと強烈な存在感を発揮する姿も見てみたいです。   

 気が付くとまたいつもどおり好きな俳優のことばかり書いてしまいましたが、聖母マリアを『愛の嵐』のシャーロット・ランプリング、ブリューゲルのコレクターで友人のヨンゲリンクをイギリスの舞台俳優として有名なマイケル・ヨークと堂々とした名優がさりげなく脇を固めていて、またぴったりこの世界にハマっているところがなんとも贅沢な映画でした。

 そう、これはすっぽり異世界に入り込んだような陶酔感をたっぷり味わえる稀有な旅行(トリップ)映画ともいえるのかもしれません。 本当、機会があれば何度でも行きたいと思うほど楽しい旅でした♪
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カイジ2 [映画]

 『カイジ2』ず~っと行きたいと思っていたのですが、都合がなかなかつかず・・・が、先週末公開一ヶ月目にしてやっと見てきましたよ! と言うわけで遅ればせながら感想です♪

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 と言いつつ、↑イラストは東宝シネマの情報誌『T』からです。 カジュアルな格好があまりにカッコよかったので=><=

 さて映画は、しょっぱなから主役と見まごうべきナレーションと派手な登場ぶり! 一条=伊勢谷さんはホントいつにもましてオシャレできらきらと輝くばかりに美しかったです♪ 

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 今回は何と意外にも伊勢谷さんにとってはじめての悪役だそうで、前半その圧倒的な存在感で人を魅了し沼に引きずり込む魔王ぶり、 そして後半の負けはじめてからのへたれっ子ぶりのギャップがよかったですね~ 迫力満点なライオンに見えて実は本性は可愛い子猫ちゃんだった的に(笑) 憎たらしい顔もお茶目な顔も表情豊かで身振りも派手で本当とってもチャーミングな悪役だったと思います☆ 

 さて、真面目な話、一条の過去はあまりに哀しくて心から同情しました。 信頼していたお友達に次々と裏切られるなんて・・・ぐれてしまっても当然ですよ! カイジとはホント紙一重で、合わせ鏡のような人ですよね。 どん底状態でもどれだけ人の心に寄り添えるかで道が分かれたんだな~と思いました。 でも最後、カイジに優しい言葉を掛けてもらったところは、お友達~と思って感動しましたよ。 そのとき一瞬だったけど一条が見せた笑顔が心からのものに思えてホント美しかったですし>< 続編が出来るとしたら、今度はお友達として登場するのも夢じゃない! ・・・なんて(笑)

 いつもどおりつい伊勢谷さんばかりに目が行ってしまいましたが、他の役者さんたちも皆演技派と言われている人ばかりで、巧みな演技で手に汗握る話を熱~く盛り上げていました。

 藤原竜也さんは、今年初めの時代劇ドラマ『遺恨あり』を見たときも感心したのですが、ちょっとした表情で劇的な心の変化を表現していて、やっぱりすごい人だな~と思いました。 あと、印象に残ったのは香川照之さん☆ 利根川という、敵味方とも付かぬ得体の知れない黒~い人物を存在感たっぷりに演じていました。 これは映画『るろ剣』の観柳が楽しみだなと思いましたよ。 紅一点の吉高由里子さんは、初めて見た女優さんでしたが、抑え気味のクールな演技が上手い人だな~と感心しました。 そして、生瀬勝久さんはいつもどおりの芸達者で楽しい演技でしたし(笑)

 伊勢谷さんの次回作は、監督作の『セイジ-陸の魚-』の公開がいよいよ来春だそうで楽しみですね。 また役者としての彼の次の作品も心待ちにしています♪ 
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